独自の経営戦略

 株式会社ダイニチの下村会長には、独自の経営戦略があります。それは、大企業の協力会社(下請け)が『やりたくない』と音を上げるような難しい仕事こそが株式会社ダイニチの領分だと思っていることです。

 大手は、試作品など複雑で少量の加工品は効率が悪いので普通外注に出します。しかし、そうした『人のやりたくない仕事』を引き受けることで、なんでも屋と便利屋の本文が試されるわけです。株式会社ダイニチはどんな小さな注文や試作品つくりでも1本から嫌がらずに受注します。

難しい技術ほど
財産

 株式会社ダイニチでは、お客様から難しい注文があるたびに技術的な挑戦を引き受け続けてきました。また、これが、会社の技術的な財産に繋がってきています。

 ですから株式会社ダイニチでは、1個のオーダーでも受注しているのです。

 そこで、最近岐阜県研究開発財団との共同研究支援事業での技術的研究について実施したプロジェクトについてお話しましょう。

人間型ロボットハンド

 株式会社ダイニチでは、平成8年度〜10年度にかけて、財団法人岐阜県研究開発財団産学協同研究支援事業の一環として、『人間型ロボットハンドの研究』を実施しました。
試作した左右の人間型ロボットハンド

 宇宙空間や海底などの極限環境や医療・福祉分野における人間型ロボットハンドの応用が期待されています。従来のロボットハンドは大掛りで、人間の手の動きの様な繊細で器用な動作には向いていないため、学会でも研究用プラットホームの開発・実用化が求められていました。

 そこで、株式会社ダイニチを中心とする機構設計・加工・FRP構造部品設計加工、制御・センサ回路試作、減速機構試作などの技術を有する異業種グループが、岐阜大学工学部川崎晴久教授の指導の下、ハンド機構設計、アクチュエータ、減速機、触覚・力覚センサ、制御などの技術を統合し、研究用プラットホームとして位置付けられる人間型ロボットハンドを目指しました。
 
人間型ロボットの指の部分


偏差値のお話

 ここで、ユニークな下村会長のお話をご紹介しましょう。

 下村会長は、常々いろいろなアイデアを創造して物づくりに励んでいますが、『学校にいるときに、偏差値と言うものがあります。これは、学校生徒の成績を表す指標としてよく利用されていますが、大半の親も生徒も、その平均値を目標としてがんばりますが、私は、どちらかの端の方を狙っています。つまり、人がやらないことを常々考えて仕事をしているのです。』と、ここにもやはり一味違った下村会長の仕事にかける情熱が感じられます。