必死の営業活動

 こうして、複合加工機を使った営業活動が始まりました。しかし、そんなに世の中は甘くありません。必死の営業活動を開始しましたが2年間はほとんど受注のない日々が続きました。

 しばらくして、愛知県の豊和工業から、工作機のストッパーピンの試験品の依頼が来たので、複合加工機で製作したら、注文品が7〜8分で1個完成したことを豊和工業に伝えると、『やってみないか?』と言われ、大きな受注に繋がりました。

 また、数が少なくとも高付加価値商品を生み出せば良いと考え、それから弊社は、『人のやらないことをやる会社』になれば必ず受注は来ると信じて更なる挑戦が始まりました。

 この時期に培った精神は、『いい品、いい出来、納期を守る』で、『喜んで他社がいやがる仕事を株式会社ダイニチはやる』でした。
     
 複合加工機を使って、上記のような小さな部品の加工も現在では可能となりました。

小径の深穴加工開始へ

 その後、複合加工機への受注もようやく軌道に乗ってきた頃でした。複合機で加工する部品の一枚の設計図に『設計者が図面に描いても、あまりにも小さい直径で深い穴のために加工できず困っている』と書いてあったのです。

 また、加工できない図面が幾度となく送られてきたので、下村会長は、『これは、世の中が求めているんだ』と気が付きました。

 そこで、下村会長は早速行動を開始し、東京に深穴加工機の専門メーカーがあることを知ると、『人がやらないことをやってみたい!』という夢を描きつつ、深穴加工機の導入を図ったのでした。

 これが事業を好転させるきっかけになりました。
 
小径の深穴加工作業 深穴加工中